宇宙叡智の学校

人間の未知なる可能性 I

人間の未知なる可能性
I
大脳生理学 行動心理学 潜在能力

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私が二十歳になった頃から、
人間の持つ未知の可能性に関心が高まり、
人生とは、日常生活を単に送るものではなく、
何か他の目的があるのではないかと、心に疑問が生じた。
それが何であるのかはわからないが、何かあるに違いないと思った。

そんな思いの中で最初に取り組んだことは、
人間そのものを突き動かしている原理原則を知りたいと思った。
早速、本屋さんに行き、ユニークな視点を持つ人物を探し始めた。
この時代はパソコンが一般的に普及されていないため、
何かを探す時は図書館か本屋さんへ行くことが常だった。
興味深い書籍をパラパラめくっている内に、
“脳の働きを知る”ことが、一番肝心なことでは?と閃いた。
その後、“脳の働き”について興味深い話をしてくれる人物を探した。
脳学者や医学者の立派な先生方数名に会って話を伺ったが、
興味深い話をする人はいなかった。
その頃、何となく耳に入ってきた情報だが興味を引いた。
脳から生み出される脳波にいくつか種類があり、
その脳波を理解することで人間の可能性は高まるというものだった。
早速、本屋さんに行き、脳波について独自の見解を持つ研究者を探した。
私が目をつけたのは、松下電気の志賀一雅さんだった。
脳波を幾つかに分類しただけでなく、
α波を3種類に分類し違いを明確に示した最初の人物である。

私は志賀さんの書籍を片手に色々とリサーチを始めた。
その理論を活用して研究開発された機械があることも知った。
それはバイオフィードバック装置といわれ、実際に体験した。
二十歳から瞑想を始めていたので、
目を閉じるとすぐにα波が優勢になり、
やがて心は落ち着き、意識が拡大するのだった。
そこから先の領域に進むためには、
α波の中間に位置するミッドα波という状態へ
自らの意識を導くことが肝心であると教わった。
この装置を上手く活用することで、
僧侶が何年も修行してしか得られない意識の深淵を体験させる。
志賀先生はメンタルトレーニングのプログラムを同時に開発していた。
バイオフィードバック装置とプログラムを合わせることで、
体験者を深い意識の状態へ導き、潜在意識の扉を開くものだった。
何度か通い体験する中で、α波の3種類を自在に操れるようになった。
ちょっとしたコツがあり、コツさえ掴めば簡単だった。
雑念が多く、深く禅定に入れない人や瞑想が苦手な人でも、
この装置を活用することで意識の深まりを素早く体験できた。
確かに装置や理論は優れているものの、
それらを活用して手にするものへの指向性が違うことに気づいた。
潜在意識を開く目的の多くは、
願望実現や利益上げることや成功を手にすることにあった。
私はこのようなご利益的な目的に興味が湧かなかった。
今の私にとって一番の関心は、
人間の未知なる可能性への探求であり、
何かを得るためのアプローチや方法論ではなかった。

☆☆☆☆☆

脳波への理解を深めた私は、
自己流ではあるものの様々な実験を試みた。
しばらく研究に没頭している頃、
脳波だけでなく言葉や音や仕草を上手く活用することで、
人間の未知の可能性を開くことができるという記事を読んだ。

その記事にフォーカスを絞り、リサーチを開始した。
次なる探求は『SMCプログラム』だった。
正式名はシルバーマインドコントロールである。
丁度、セミナーが青山であるというので、ためらわず参加した。
女性の参加者が1人もいなく、おじさまばかりで少し戸惑った。

セミナーの最初に、一人ずつ自己紹介をするのだった。
参加者は大学教授、科学者、作家、NHK解説委員の方々であり、
何かレベルが高そうで、私は大丈夫かな?と心配になった。
セミナーの内容は、身体の仕組み、脳の働き、意識の使い方、
行動心理学、深層心理学、ユング心理学などで構成され、
講義は幅広い話題を扱いながら、有意義な学びの時間となった。

『SMCプログラム』セミナーは隔週で数日間続いた。
セミナー参加者は数名でグループを作り、
そのグループでで実施した成果を発表するのだった。
私のグループに大学教授とNHK解説委員のおじさまがいた。
二人とも有名になられ、その後、大活躍された方々だ。
私たちは様々な実験を行い、驚くような結果を目にしたのだ。
脳の働きや意識の使い方を知っている人と知らない人では、
人生に大きな違いが出るのだと思った。

セミナーが終了した後もグループの方々との交流は数年続いた。

ここでの学びは学術的というより魔法のようなものだった。
私は愛するアンティーク車を持っていて、毎日運転していた。
一番面倒なのは、駐車場を探すことである。
原宿交差点付近、路上のスペースに車を停めるものなら、
すぐにミニパトカーがやって来て、切符を切られてしまう。
私はセミナーで覚えたテクニックを駐車場のために活用した。

毎日、原宿の交差点近くのカフェでお茶を飲み、
仲間たちと何時間も会話をして過ごす。
まともに駐車場に入れたらすごい金額になるので、
なるべく路上のパーキングとスペースでやり過ごしたい。
早速、私は愛車を停めたいと希望する路上パーキングを見つけ、
今後は私が車を停める時は、優先的に私のために空くと決めた。
そして三本指なるテクシックを行い、自己暗示をかけるのである。
すると、いついかなる時であっても、その場所に到着すると、
私の愛車が優先され、車を停めているた持ち主は退くのである。
99%の確立と言えるほど、必ず、愛車は指定の場所に停められた。

次は信号の変化の速度を変える実験を行った。
待ち合わせの時間に遅れそうな時、
タイミング悪く赤信号に捕まってしまうと困るものだ。
私はどちらかというと時間に執れないこともあり遅刻魔だった。
早く家を出るというのが苦手で、ぎりぎりの時間で準備を整える。
必ず電話がかかってきたり、何かが見つからなかったり、
うっかりして時間が過ぎてしまい、待ち合わせの時間に遅れてしまう。
私は慌てて愛車に乗り出発するかタクシーに乗って目的地へ行く。
タイミングが悪いと、やたら赤信号で停まってしまう。
早速、セミナーで覚えたテクニックを使い、
赤信号にならないように青信号の時間を延ばすのだった。
これは結構上手にできて、瞬く間に現場に到着できるのだった。

私は意識とセミナーで取得したテクシックを使って、
様々な実験をしては結果を出し、面白がって遊んでいた。
そんな日々が数ヶ月続いた後、
ある日のこと、大きな疑問が頭の中を駆け巡った。

ちょっと待って、こんなことしていいの?

私が思うままに物事を動かし、
信号の時間を延ばしたり、定位置の駐車場を確保したり、
電車の座席も必ず空いている場所に導かれてしまう。
こうしたことは些細なことに思うかもしれないが、
この仕組みは怖ろしい力を背面に隠し持っていた。

もう一度、振り返ってみると、
私が駐車場に愛車を停める3分前にテクニックを使い始める。
相手を動かすのに3分程度は必要だということなのか?
このことをシュミレーションをしてみるとわかりやすい。

穏やかな午後の時間、原宿の交差点付近で、
美味しいコーヒーを飲み佇む人がいる。
太陽のこぼれ陽を窓越しにぽかぽかと感じながら、
幸せな時間を過ごしている人がいると想定するのだ。
丁度、私もその時間にその場所へ行きたいと思ったので、
いつもの定位置に愛車を停めるためテクニックを使い始める。
そして3分後、幸せを感じていたその人は、
急に用事を思い出したり、電話がかかってきたりして、
カフェを出てその車をその場所から退けて何処かへ行ってしまう。
その代わり、私の愛車がその場所に予定通り収まるのである。

これは考えようによっては怖ろしいことだと思った。

何が言いたいかというと、
明確な意思を持っている人は、
なんとなく生きている人を自由に動かし、
その人の行動に影響を与えることができるということである。
このことを証明しようと、様々な実験を行ってみたが、
すべて予測通りになり、ますます恐ろしいことだと感じた。

この世の中を振り返ってみると、
悪知恵のある人は悠々と生きていて、
お人好しの人は損ばかりしているように思えるのだ。
それは、こうした意識の仕組みが影響しているからに違いない。
それに気づいた私は、二度とテクニックを使わなくなった。

おもちゃのような魔法で遊ぶ時間は終了した。
ゆっくりコーヒーを飲み幸せな時間を過ごしている人を
そっとして置きたかったからだ。

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こうしたテクニックは覚えたては面白く楽しいけれど、
疑問が湧いてくると、結果にも変化が現われ、
すべての好結果に歪みが生じるのである。
こうしたテクニックを知った者は、
何か得しているように錯覚するのだろが、
何かを得た分、何かを失っているのかもしれない。
悪魔のささやきに似た魔法の媚薬なのかもしれない。

私が求める人間の未知の可能性とは、
このようなテクニックではなく、損得の問題でもない。
日常生活に呪縛された私たちの心の解放であり、
何かを得るための方法や何かを支配するための方法ではない。

私の求める道はここにはないと悟った私は、
潔くすべてを手放し、
次のなる道へ向かう準備をするのだった。

人間の未知の領域への切符はどこにあるのか?

この世には良いも悪いもたくさんの魔法使いたちがいて、
私たちの心の眼を曇らせ、道を迷わせようと悪戯している。
もう一度、大自然の中へ入り、汚れた心を洗って出直そうと思った。

この後、24歳で画家の彼と出会い、
芸術と文化と思想の世界へ誘われて行く。
(chenge 再会と別れ 参照)

☆☆☆☆☆

次なる意識の探求は、
トランスパーソナル心理学、
そしてニューサイエンスへと向かう。

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